ソンクスドン、3つの路地を1km、カフェ、手作り靴、パン屋を巡る散策




- 聖水洞は1970年代から、手作り靴工房や印刷所、自動車整備工場が密集した工業地帯でした。革や生地を扱う卸・小売店、靴底やバックルを製造する部品工場、裁断と縫製を請け負う工房が徒歩圏内に集まり、デザインから完成品出荷まで、製靴産業の全工程を1つの地域でまかなっていました。かつてソウルにおける靴製造の大部分がこの一帯に集中していたほど作業場の密度が高く、そうして積み重ねられた生産インフラと安価な賃料、江南や都心に近い2号線・水仁・盆唐線という交通の便が重なり、2010年頃から空き工場や倉庫に若い芸術家やデザイナーが集まり始めました。赤いレンガ造りの建物とスラブ状の倉庫が、そのまま外観を残してエスプレッソバー、セレクトショップ、ベーカリーに変わるにつれて、シャッターを開けた鉄工所の隣に全面ガラス張りのカフェが並ぶ風景が生まれました。古い工場の骨組みをそのまま残した再生建築が街全体に広がり、聖水洞は「ソウルのブルックリン」と呼ばれるようになり、イギリスの雑誌タイムアウトが2024年に発表した「世界で最もクールな街」ランキングにも名を連ねました。
歩くルートは、3つの区間に分けて計画すると良いでしょう。古い倉庫をカフェに改装した延武場キルから出発し、手作り靴工房が密集した靴テーマ公園一帯を通り、単独住宅を改装した店が続くソウル森カフェ通りまで歩いて行きます。ソウル森、聖水駅、トゥクソム駅の3つのエリアが直線距離で1km程度に位置しており、カフェ、工房、ベーカリーを1回の散策で楽しむことができます。
聖水洞 延武場キル カフェ通り
延武場キルという名前は、朝鮮時代に軍人が武芸を鍛錬した練武場(ヨンムジャン)に由来します。この通りは、2号線トゥクソム駅から聖水駅を過ぎて聖水交差点に向かって長く続く路地で、歩いていると、まだ営業中の自動車整備工場や印刷所の油汚れのついたシャッターのすぐ隣に、古い倉庫を改装したカフェやセレクトショップが並んでいます。最近では、聖水駅を基準にソウル森の反対側へと広がる「東延武場キル」や北側の「北聖水」エリアにも店が広がり、大通りから1つ路地に入っただけで、新しくオープンしたショールームと古い工房が交互に現れます。
この通りの変化を最初に引き起こした建物は大林倉庫です。1970年代初頭に米穀倉庫として建てられ、1990年代からは工場資材を保管する倉庫として使われ、現在は色あせた赤いレンガの外壁と高い天井、柱のない広々とした室内をそのまま残したギャラリー型のカフェになっています。米穀倉庫時代の骨組みとレンガをできるだけそのままにして改装し、普段はカフェとして営業しながら、美術展、ファッションショー、自動車の新車発表会、コンサートなどのイベントが交互に開催されます。中に入ると、荷物を積み下ろしていた広い出入り口、天井まで続く鉄製のトラス、塗料が剥がれたレンガの面が展示物と混ざり合い、米穀倉庫から倉庫へ、そしてギャラリーへと変わった3つの用途を、1つの建物の構造から順番に読み取ることができます。
お店を選ぶ際には、まず建物の本来の用途を確認しましょう。鉄製のシャッターやH型鋼、粗いコンクリートの床をそのまま残し、印刷所や鉄工所の看板をそのまま残している場所、ガラス張りの窓からロースターを見せているエスプレッソバーなど、それぞれ異なる表情を見せています。古い工場の貨物用スライディングドア、天井に露出した配管や鉄製のトラス、床に固定された機械のアンカーボルトなど、当時の面影を残しているお店ほど、工業建築の原型を多く残しています。大通り沿いにカフェが並ぶ広い道から、路地に入って1ブロック進むと、観光客よりも作業着姿の地元の人々が多いエリアがあり、革の材料を積んだ手押し車やミシンの音が聞こえるこのエリアは、聖水洞本来の産業風景により近いと言えるでしょう。
歩きながら注目すべき点は、レンガの色と目地、低く敷かれた屋根のライン、新しく設置された看板のフォントです。城東区は2018年から「赤いレンガ建築物支援事業」を実施し、1970~80年代の工場や倉庫、1980~90年代の赤いレンガの住宅を保全対象として管理しています。対象地域は2025年に聖水洞全域に拡大され、建築・大規模改修の際には工事費の半額を上限として、1件あたり最大2000万ウォンまで支援します。そのため、街には、防火壁のようにレンガを厚く積み上げた面、縦長の工場窓、切妻屋根の三角形の輪郭など、産業建築特有の要素が至る所に残っています。半世紀近くにわたって使い込まれた外壁の上に、ミニマルな英語の看板が設置されているコントラストが、この路地の外観の核心です。カフェに入る前に、一ブロックを歩きながら、どの建物がかつて精米所、印刷所、製靴工場だったのか、外壁の換気口、看板の跡、窓の形から推測してみてください。
聖水洞靴テーマ公園およびアトリエショップ
聖水洞の靴職人街は、1970年代から集まり始めた靴工房が作り上げた路地です。解放後、ソウル駅近くの塩川橋から始まり、明洞を経て聖水洞に移転してきた製靴産業の流れがこの地域に定着し、現在では全国の手作り靴製造の70%以上がこの地域に集中した国内最大の製靴生産地として知られています。デザイン、裁断、縫製、完成品の出荷まで、製靴の全工程を1つの地域内で行う構造がそのまま残っており、この街は2号線聖水駅を中心に、1~4番出口の半径からトゥクソム駅方向に続いています。
その中心に位置する靴テーマ公園は、聖水駅から約250m離れた場所に作られた5,197㎡規模の屋外空間で、2013年に住民参加予算の提案として始まり、2015年に太陽光発電設備と運動施設を追加する再生事業を経て、現在の姿になりました。公園内には、巨大な靴の形をしたシンボル彫刻、職人をたたえるベンチ、円形の広場、屋外ステージ、手作り靴の広報館が集まっており、近くには約30軒の靴工房と地域工房が共同で運営する共同販売店「FromSS」1号店と2号店があり、完成品を直接購入できる店舗につながっています。広報館では、地域工房が作った様々な靴を見て、革工芸の体験や交流スペースを利用できるため、公園を一周して彫刻と広報館を先に見て、路地に入っていく動線が自然です。
聖水駅自体も見て回る価値があります。ソウル市、城東区、ソウル交通公社が協力して、2号線聖水駅内に「シュースポット聖水(ShoeSpot)」という手作り靴博物館兼展示スペースを設け、駅を降りた瞬間から手作り靴街の歴史と製靴工程を紹介しています。駅を出ると、手作り靴街へ続く道案内をする壁画が続き、街の入り口には職人の手を表現した「美しい手仕事 - 職人の手」の彫刻と赤い靴の彫刻が設置されています。路地の中には、1階に展示スペースとショップを設け、2階の工房で革工芸の教育を行う複合スペースもあり、完成した靴を売買する活動と、それを製作する技術を教える活動が、一つの建物の中で上下に展開されています。
路地では、大通りよりも一ブロック奥を歩いてみてください。1階に作業台を設けた工房のガラス窓越しに、革を型に合わせてカットする裁断、ラスト(靴型)に革を被せて形を作る作業、底を貼り、ヒールを取り付ける仕上げなど、製靴の過程を直接見ることができます。街のあちこちには、革の生地、バックル、インソール、糸、接着剤などの資材を販売する卸・小売業者も軒を連ねており、完成した靴だけでなく、それを構成する材料の段階まで、一つの路地で目にすることができます。
路地を歩きながら、注目すべきポイントをまとめると以下のようになります。
- 工房のガラス窓 — 裁断台の上に広げられた革、壁に並べられたラスト、縫製と底の接着が行われている作業台
- 広報館と共同販売店 — 靴テーマ公園広報館の地域工房製品の展示、FromSSの店舗の完成品展示と価格帯の比較
- 看板の世代交代 — 手書きの古い靴店の看板と、新しくオープンしたアトリエやセレクトショップのデザインサインの比較
- 資材店 — 革、バックル、糸、インソール、接着剤などを扱う卸・小売店の陳列台とサンプル
- 街の区画表示 — 聖水駅からトゥクソム駅方面に続く区画案内板と入り口の彫刻、シュースポット聖水の展示
- 建物の材料 — 古い赤いレンガと木製の窓枠、低い屋根線が残る区間
ポップアップストアやセレクトショップが次々とオープンする街なので、同じ路地でも訪れる時期によって入っている店が変わります。古い靴工房というルーツの上に新しい店が加わる変化の順番を、看板の書体や店舗の構成、シャッターに残る古い店名から読み取ることができます。オーダーメイドの靴を考えている場合は、工房で足のサイズを測り、ラストと革、ヒールの高さを選ぶ相談のプロセスを経ることになるので、完成品店と受注製作工房を区別して訪れると良いでしょう。
ソウル森林カフェ街の手作りベーカリー通り
ソウルフォレストのカフェ通りは、ソウルフォレスト公園の北側、赤いレンガ造りの住宅街の路地に形成されたベーカリーとカフェのエリアです。水仁・盆唐線ソウルフォレスト駅から徒歩数分、2号線トゥクソム駅からもほぼ同じ距離にあり、公園での散策と合わせて楽しむことができます。ヨンムジャンギルの大きな倉庫のようなカフェとは異なり、このエリアには、一軒家を改装した小規模な店が路地に沿って密集しています。黄色い外壁の田舎のようなベーカリーから、地下を工房として使用するパン屋、庭を席として提供するデザート店まで、一軒の家全体を店舗として使用し、低い塀の向こうに看板を掲げています。
合わせて楽しめるソウルフォレストは、2005年6月にオープンした大規模な公園で、1908年に国内初の浄水場が建設され、その後トゥクソム遊園地やソウル競馬場として使用された場所が、1989年の競馬場が果川に移転した後、公園に改修されました。約35万平方メートルの敷地が、文化芸術公園、体験学習園、生態の森、湿地生態園の4つのエリアに分かれており、漢江と中浪川が公園の端を流れています。鹿が歩き回る生態の森や広大な芝生、漢江につながる歩道橋があり、パンを買って戻ってきて、座る場所を選ぶのに最適です。
パン屋を選ぶ際には、まずショーケースを見てみましょう。焼きたてのクロワッサンや湯種食パン、オリーブのチャバタ、塩パンなど、店内で焼いているメニューが多いほど、オーブンの回転が速く、温かいパンに出会える可能性が高くなります。店の奥にオープンキッチンや工房が見える店であれば、その日に焼いた商品をトレー単位で確認でき、温め直すパンと焼くパンを区別して選ぶことができます。バターの香りが路地まで漂う時間帯に、店員が空のトレーを補充するタイミングに合わせて来店すると、最高の状態でパンを購入できます。
ソウルフォレストと合わせて楽しむなら、公園で散策を終えて北側の出口から出て、住宅街の路地に入るのがおすすめです。低い塀と赤いレンガの間を、ベーカリー、デザート店、小さなカフェが交互に現れるので、パンを買って再び公園のベンチや芝生に戻って食べるコースがよく合います。路地は狭く、店ごとに席数も多くないので、店に席を確保するよりも、パンをテイクアウトして公園に向かうようにすると、待ち時間を短縮し、漢江につながる森の道まで散策を続けることができます。